「仕事が出来るカバン」を考えた！陰山英男の仕事鞄-ビジネスバッグ-

陰山先生の「ビジネスバッグ論」
K-modelに込めたメッセージ

第83回　ビジネスマンのアイテム選び
～ビジネスセンスを同時に評価されるK-model～

学校でも会社でも管理職になってくると周囲の視線が気になるものだ。私は小学校の校長になった時にそれを実感した。それまで生徒に接するときはスニーカーにジャージスタイルと、自分の服装や身だしなみに学生時代からの無頓着さの延長線のままで特別に意識をすることはなかった。しかし役職的に職員や行政との会議、来客への接遇、父兄との懇談など子どもと接する時間に増してそのような時間に費やされることが多くなった。すると自分の意見や考え、行動を相手に理解してもらうことが多くなり｢受け入られ方｣を考えるようになった。

すると今までの自分なりの｢常識｣がこのままではうまくゆかないことに気付いたのだ。極端な話では、例えば市長や教育委員会のメンバーなどとの面談、会議ではスニーカーというわけにはいかない。自分自身もそれなりの身だしなみを持って面談に臨まなければ相手に失礼だろう。しかし堅苦しいフォーマルな印象では大きな勘違いのまま逆に相手は引いてしまうので相手に不快感を与えない基準が大切なのだ。特に持ち物は重要だと感じている。K-modelのコンセプト会議でこだわったのは私のそんな経験と時間をかけて獲得した接遇の大切さだ。特にビジネスバッグは持ち主の印象を強く決定する傾向があると思う。

面談や会議の場でしっかりとしたビジネスバッグを使用していたら信用度が増すばかりでなく言葉にも説得力がある。クライアント目線ではそのようなバッグを選択したセンスを仕事のセンスと相通じてみているものだ。K-modelはビジネスモデルとしてショルダータイプもトートも、そして新発売のリュックタイプも時代の風評に流されることのない堅実な安定感を意識して提案した。ビジネスユースに不可欠なディテールの機能性や堅牢性は当然として、使用者の人柄を現す選択としたら言い過ぎだろうか。しかし多くのブランドはこのような評価を重ねて確立していくのだ。売り場で他のブランドビジネスバッグとぜひ比べてほしい。